歴史ある播州織物の技を使って、もう一度、日本独自の産業だった麻織物をつくろう。
「ASABAN」は、創業100年の門脇織物がプロジェクトを立ち上げ、2011年から始めたものづくりのブランドです。
自然と人間がお互いに助け合う、環境にもやさしい自然素材である麻の持つ可能性を追求しています。
この地で亜麻を育て、その花の愛らしさを楽しみながら、昔から製造に苦心してきた麻100%に挑む。やさしく織られたその布は、草木染めで彩られナチュラルな暮らしを愛する人の体を包んでいきます。
特別な日ではなく、なんでもない日々がいちばん大事だから。
亜麻の特性を生かした商品は、使えば使うほど心地よく、肌になじむものです。ソックス、アームグローブ、インソール、タオル、ストール、赤ちゃんのおくるみ、洋服など、直接肌に触れる衣料品は特に、やわらかく肌にやさしい気持ちのいい風合いにこだわりました。
「亜麻布をまとう」をコンセプトにたっぷりの布を贅沢に使ってつくる「ASABAN」の衣は、
着ているうちに肌と一体化するような感覚になります。
「麻」は、植物表皮の内側にある柔繊維から採れる繊維の総称です。日本では大麻(ヘンプ)から黄麻(ジュート)までひとくくりに「麻」と言われていますが、日本工業規格で「麻」と表記できるのは亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)だけ。中でも亜麻は織物の最高ランクに位置付けられ、繊維が細くしなやかなのが特長。
涼しさと暖かさ、強さとやわらかさを併せ持つ万能と言ってよい布です。
繊維の中心が空洞なので吸水性と速乾性が高い一方、60%の保湿作用があるとされ、サラサラ感としっとり感を同時に味わえます。
エジプトのミイラに巻かれていたのもこの亜麻で織られた布です。
先染め織物で知られる播州織物専門の機屋「門脇織物」は大正8年創業、2019年に100年を迎えます。兵庫県の多可町八千代地区では最古参。
2011年、何代にもわたり進化を続けてきた播州織の技術でリネン(麻)織物に着手しました。
緯糸はもちろん経糸まで100%リネンにこだわり、糸の特性を最大限に生かした生地づくりを目指しています。
職人の手作業から生まれる生地は、亜麻の自然な色と光沢を持つ気品あるドビー織。
使うほどにやわらかくなり、愛着が深まります。
古くから伝わる草木染めや藍染めは、植物から色素をいただきます。
桜、梅、くるみ、茜、五倍子(ふし)、桑の葉、お茶、マリーゴールド、紫根。
移りゆく日本の季節の中で育つ草、木、根、花で染める「ASABAN」の布は、温度、湿度、水などの要因により毎回仕上がりが違います。
繊維の中の気泡に光が入って内側から美しく発色し、あなただけの一着、一枚に。
生きている私たちの体には、生きた自然の色がもっとも映え、そしてもっとも心地よいのだと思います。
イギリスに5年、オーストリアに15年暮らした経験から得た気付きや大切なことを、亜麻という植物を通じて発信しています。私たちが通常当たり前に感じている文化、生活習慣などは、国が異なればまったく違ったものになり、意味も変わってきます。
ただ、国が違っても、この地球にいる限りすべての人に通じる想いがあると気付きました。
それは、「大切にする」という気持ちです。
ヨーロッパから日本に戻って来て一番に驚いたことは、「使い捨て」が当たり前になりつつある現状です。
面倒くさいことを避け、いかに便利に暮らすか、それだけにとらわれて本当に大切なことが消えていく。
私は、ものがあふれているこの時代だからこそ、地球も人も豊かにしてくれるような「もの」を提案したいという想いで活動しています。使えば使うほど愛着が湧いて使い心地もよくなり、後は土に還っていく、そんなものたちです。
すべては種から始まります。その種を育むのは、土、水、太陽、空気、そして私たちの愛です。「ASABAN」の亜麻を通して、自然の素晴らしさ、そして本当の意味での人生の豊かさを感じていただければ本当にうれしいです。2011年東日本大震災をきっかけに帰国し、亜麻とともに過ごして数年が経ちました。今このタイミングで、日本人である自分が日本で暮らすことの意味は大変大きいものだと感じています。
私が実験的に畑で育てている亜麻は、無肥料、無農薬になります。
虫にも強く、水やりも必要ありません。すべて自然のままで育ってくれます。
土にも人にも環境にも優しい・・・・
亜麻は綿に比べると、環境的負荷が比べ物にならないほど少ないのです。
亜麻の持つ「速乾性」、「保湿性」、「抗菌性」を生かした暮らしのものは、これからの時代には大いに役立つものになると思っています。